子育て

幼稚園・保育園の保育料を安くするための8つの方法

アイキャッチ画像(幼稚園児)

小学校入学前の小さなお子さんのいらっしゃるみなさん、幼稚園や保育園の保育料の決まり方をご存知ですか?

お住いの市区町村や通っている幼稚園、保育園に言われた通りに払うだけでしょ、と思っている方!対策をすればもう少し安くなるかもしれませんよ。

幼稚園の保育料の決まり方

公立園、認定こども園(幼稚園としての利用の場合)、私立園の場合はその園が子ども・子育て支援制度に移行しているかどうかで保育料の決まり方が違います。

公立園、認定こども園、子ども・子育て支援新制度に移行した私立園の場合

子ども・子育て支援制度に移行した園の保育料は市区町村が市町村民税(東京都23区は特別区民税)所得割の金額に応じて決めています。

中野区の例では以下のようになっています。

◆第1子
 特別区民税所得割
 77,100円以下:4,100円/月
(ひとり親世帯等は2,050円/月)
 211,200円以下:8,500円/月
 211,201円以上:13,700円/月
◆第2子
 特別区民税所得割
 211,200円以下:無料
 211,201円以上:850円/月
◆第3子:無料 
(引用元:中野区『平成31年度区立幼稚園保育料』

この他、園によって入園料、制服などの学用品代、給食費などの諸経費などが別途かかる場合があります。

子ども・子育て支援新制度に移行していない私立園

入園料、保育料、その他の諸経費などはすべて園が決めますが、お住いの市区町村から補助金がもらえます。

補助金の金額は市町村民税(東京都23区は特別区民税)所得割の金額に応じて決まります(詳細は『幼稚園の補助金っていくらもらえるの?-東京都新宿・中野・杉並区版』参照)。

保育園の保育料の決まり方

認可保育園とそれ以外の保育園(認証保育所、認可外保育施設)で保育料の決まり方が違います。

認可保育園

認可保育園の保育料は市区町村が市町村民税(東京都23区は特別区民税)所得割の金額に応じてお子さんの年齢別に決めています。

中野区の例では、所得割の金額で32段階の料金区分が設けられていてお子さんの年齢によって以下の保育料となっています。

0~2歳児:0~74,700円/月
3歳児:0~31,600円/月
4~5歳児:0~24,800円/月
(引用元:中野区『平成29年度保育料』

これ以外に、園によって延長保育料や学用品などの諸費用が決められている場合があります。

認証保育所、認可外保育施設

認可保育園以外の園では入園料、保育料、その他の諸経費などはすべて園が決めます。

お住いの市区町村によっては補助金制度がある場合があります。補助金の金額は一律いくらというところもありますが、認可保育園に通った場合の負担額との均衡を図るため市町村民税(東京都23区は特別区民税)所得割の金額に応じて決まる自治体もあります。

中野区の場合は以下のようになっています。

補助対象施設と契約した月ぎめの基本保育料(基本保育料以外の延長保育料などは除く。)と、月額限度額62,000円を比較し、低い方の額と認可保育所に入所した場合の保育料を比較し、認可保育所の保育料が低い場合にはその差額を補助します(1,000円未満切り捨て)。
(引用元:中野区『平成29年度認証保育所などの保護者補助金のご案内』

つまり、認可保育園の保育料(所得割の金額により決まる)+保育園の保育料のうち62,000円を超える部分の金額が各家庭の負担額になるということですね。

所得割の金額を確認してみよう

ここまでのところで幼稚園、保育園ともに保育料の負担額には市町村民税(東京都23区は特別区民税)所得割の金額が関係していることが分かりましたね。この市町村民税(東京都23区は特別区民税)所得割は住宅ローン減税や寄付金控除などの所得控除前の金額ということになっています。

この所得割の金額は基本的にはパパとママの分を合算した金額になります。(自治体によっては収入のあるおじいちゃんおばあちゃんやお子さんと同居していたり、仕送りをもらっていたりする場合は、その分も合算するケースもあります。)

振込・口座引き落とし等で納付している住民税がある場合

振込や口座引き落とし等、ご自分で住民税を納付されている方は、毎年6月ごろ送られてくる税額決定・納税通知書を見てみましょう。

税額控除前の所得割の合計(赤丸の部分)から

税額決定通知書(所得割の金額)
(引用元:中野区『税額決定・納税通知書の見方』赤丸は筆者加筆)

税額控除の内訳のうち、「調整控除」(赤丸の部分)の金額を引いてください。

税額決定通知書(調整控除)
(引用元:中野区『税額決定・納税通知書の見方』赤丸は筆者加筆)

これが保育料や補助金の決定に使われる所得割の金額です。市町村民税(特別区民税)と都道府県民税の欄がありますが、市町村民税(特別区民税)の欄を見てくださいね。

給与天引ですべての住民税を納付している場合

住民税を給与天引だけで納付している方は、6月の給与明細と一緒に配布される特別徴収税額通知書を見てみましょう。

特別徴収税額通知書
(引用元:中野区『特別徴収税額通知書の見方』赤丸は筆者加筆)

「税額控除前所得割額」から「調整控除」を引くのですが、残念ながら特別徴収税額通知書には税額控除の内訳がないので調整控除の金額が分かりません。住宅ローン減税や寄付金控除など他の税額控除がなければ「税額控除額」の欄の金額が調整控除の金額になります。

調整控除の金額の計算方法はちょっと複雑なのでここでは省略しますが、通常は数千円です。気になる方はこちらの解説を見てみてください⇒中野区『住民税の具体的な計算例』

保育料を安くするためにできること

保育料の決まり方とご家庭の所得割の額を確認してみて、もう少しで保育料が安くなるのに!、補助金が多くなるのに!と思った方は、以下について確認・検討してみましょう。

基本的にはいわゆる節税対策ですが、子育て世代は児童手当や保育料への影響もあるので真剣に考える価値ありですよ!児童手当の金額は保育料とは少し違う決まり方をしますので、こちらの記事をみてくださいね(『児童手当の所得制限-支給金額増加のための4つのチェックポイント』)。

税負担も減るうえに児童手当や補助金の増額、保育料の減額になる可能性のある節税対策もあれば、税負担は減っても児童手当や補助金の減額、保育料の増額になってかえって損をする可能性がある節税対策もあるので注意が必要です。

1.配偶者控除、配偶者特別控除の申請に漏れがないか確認しよう

1年間の所得の金額が38万円以内(会社員で給与のみの場合は収入が103万円以内)の場合は配偶者の所得から配偶者控除が受けられます。また、1年間の所得の金額が76万円未満(会社員で給与のみの場合は収入が141万円未満)の場合は配偶者の所得から配偶者特別控除が受けられます(配偶者の所得制限あり)。

共働きのご家庭は産休・育休を取得した年は要注意です。産休や育休で仕事を休んだ期間は健康保険や雇用保険から一時金や給付金が出ますが、これらの収入は非課税です。所得には含まれません。休業のタイミングと期間によっては一時的に配偶者控除、配偶者特別控除の対象となる場合があります。

2.扶養控除の申請に漏れがないか確認しよう

1年間の所得の金額が38万円以内の扶養親族がいる場合は所得控除が受けられます。申請を忘れやすいものとしては別居の扶養親族等があります。親族に生活費を仕送りしている場合は税額を計算するうえでは「同一生計」と考えられ、その親族の所得の金額が38万円以内である場合は扶養控除が受けられます。そのほか、障害がある場合や寡婦(夫)に該当する場合の申請ができているかどうかも確認しましょう。

3.医療費控除の申請に漏れがないか確認しよう

本人、配偶者、親族等(同一生計)が1年間に支払った医療費の合計が10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超える場合に所得から控除が受けられます。出産費用も医療費控除の対象となりますので、普段はあまり医療費がかからないというご家庭でも、出産した年は医療費控除が受けられる可能性があります。

医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。

4.社会保険料控除の申請に漏れがないか確認しよう

本人、配偶者、親族等(同一生計)の社会保険料を支払った場合、所得から控除することができます。家族の社会保険料を代わりに払ったケースは申告を忘れやすいので注意しましょう。

以下のものは社会保険料控除の対象となります。

  • 健康保険料、厚生年金保険料
  • 国民健康保険料、国民年金保険料
  • 後期高齢者医療制度の保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料
  • 国民年金基金の掛け金
  • 厚生年金基金の掛け金
  • 公務員共済の掛け金

5.節税のために分離課税の所得を確定申告する場合は注意しよう

株式投資をしている方は源泉徴収ありの特定口座を利用している方も多いと思います。これは証券会社が源泉徴収して納税してくれるので確定申告をしなくてもいい方法です。

それから退職金をもらう場合は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出して退職金を支払う側で退職所得に対する所得税・住民税の金額を計算して源泉徴収するので確定申告は不要になります。

これらの所得については確定申告した方が税金が安くなる場合があり、節税方法について解説した記事も多くあります。例えば、

これらの所得を確定申告した場合、節税額以上に保育料が増えたり補助金が減ったりする可能性があるので、未就学児のいるご家庭は注意が必要です。本当に得をするかどうか考えたうえで、申告しましょう。

6.確定拠出年金を利用する

確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金の1つです。2017年1月から60歳未満のほぼすべての方が利用することができるようになりました。

確定拠出年金拠出限度額
(引用元:厚生労働省HP 『確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係』

途中解約ができず、60歳までは受け取れないといったデメリットもありますが、支払った掛金の全額が所得から控除できるなどの節税効果を享受しながら老後の資金を貯められる制度なので、検討してみるとよいでしょう。

医療費控除などとは異なり、所得から控除できるのは本人の分だけなので注意が必要です。

7.小規模企業共済を利用する

小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主の方、中小企業の役員の方のみが加入することができる公的な退職金の共済制度です。個人事業を廃業したときや会社の役員を退職したときなどに、毎月掛け金として積み立てていたものを受け取ることができます。

途中解約すると元本割れする可能性がある、掛け金の減額が難しいといったデメリットもありますが、支払った掛金の全額が所得から控除できるなどの節税効果を享受しながら退職後の資金を貯められる制度なので、利用できる方は検討してみましょう。

医療費控除などとは異なり、所得から控除できるのは本人の分だけなので注意が必要です。

8.国民年金基金を利用する

国民年金基金はフリーランスや個人事業主の方のための公的な年金制度で、国民年金に上乗せされるいわゆる2階建て部分の年金制度です。会社員であれば厚生年金に相当する部分です。

途中解約ができず、60歳or65歳までは受け取れないといったデメリットもありますが、こちらも支払った掛金の全額が所得から控除できるなどの節税効果を享受しながら老後の資金を貯められる制度なので、利用できる方は検討してみるとよいでしょう。

確定拠出年金制度と似ていますが、こちらは配偶者、親族等(同一生計)の分を支払った場合も控除を受けることができます。個人事業主の方で配偶者が扶養に入っている場合は、配偶者の国民年金基金の掛金を自分の所得から控除することもできるということです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

一部、例外もありますが、基本的には節税をすると保育料も減額になる可能性があります。特に認可保育園の保育料は所得割の金額によって細かく決まっていて、中野区のケースでは高所得層を除けば税額ベースで約2千円~3万円きざみ、所得ベースに直すと約3~50万円きざみです。対策すれば今よりも安い保育料になる可能性も十分にありますよ。

ぜひ試してみてくださいね。

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