2017年度からスタートした給付型奨学金の申し込みが少なくて受付期間が延長されているというニュース。
2017年度から始まった低所得世帯の大学生らを対象とする返済不要の「給付型奨学金」について、今年度の進学者の申し込みが5月の締め切り時点で1,578件にとどまり、当初の想定を1,000件以上も下回っている。
日本学生支援機構は、制度の周知が行き届いていないとみて、受け付けを8月4日まで延長している。
(引用元:Yahoo!ニュース6/28(水) 21:31配信『給付型奨学金、申し込み伸び悩む…受け付け延長』)
まだまだ日本では少ない給付型の奨学金です。利用できる方はぜひ利用してみて欲しいと思います。
給付型の奨学金って何?
奨学金は大きく分けて貸与型と給付型の2種類があります。貸与型は卒業後に返済が必要なもの、給付型は返済の必要がないものです。
日本の奨学金は貸与型が多いのですが、私は貸与型奨学金の利用は積極的にはお勧めしません。学資を用意するための他の手段を講じた上での最終手段だと考えています。利用する場合もできるだけ少額にとどめるべきです。
理由はお子さんのライフイベントに影響しかねないからです。
中央労福協(労働者福祉中央協議会)のアンケート調査(2016年2月29日発表)によると平均的な貸与型奨学金の借入額は312.9万円。4年間借り続けたとすると月額6~7万円ほどですね。
(引用元:中央労福協『奨学金に関するアンケート調査結果』)
これを日本学生支援機構の貸与型奨学金の定額返還方式で返済すると、無利息であっても月額約1.5万円を18年間にわたって返済することになります。先ほどの中央労福協のアンケート調査でも平均の返済額は月額17,206円、平均の返済期間は14.1年となっています。
(引用元:中央労福協『奨学金に関するアンケート調査結果』)
ライフイベントへの影響についてですが、貸与型奨学金=借金ですがら、2割~3割程度の利用者が「結婚」「持ち家の取得」「仕事や就職先の選択」「子育て」「出産」といった影響があると感じているようです。
(引用元:中央労福協『奨学金に関するアンケート調査結果』)
給付型であれば返済の必要がなく、将来のライフイベントへの影響もありませんので安心して利用することができますね。
どんな人が利用できるの?
日本学生支援機構の給付型奨学金の本格的なスタートは2018年度からです。2017年度は特に経済的に厳しい状況にある学生を対象として先行実施されています。
対象者
大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)に2017年度に進学した学生のうち、以下の条件を満たす方が対象になっています。
- 下宿先から私立大学に通う成績優秀者
- 父母(父母がいない場合は代わって家計を支えている人)が住民税所得割非課税または生活保護受給世帯
高校在学時の成績が優秀 - 児童養護施設等出身者
- 18歳時点で児童養護施設等に入所していた、または、里親等に養育されていた
大学等に進学後、優秀な成績を収める見込みがあること
先行実施分ということもあり、住民税所得割非課税または生活保護受給世帯については、私立大学であること、下宿先からの通学であること、成績については実績が必要であることと条件が厳しくなっています。児童養護施設等出身者については、国公立大学でもよく、成績についても見込みでよいところがポイントです。
給付額
進学した大学等が国公立か私立かで金額が異なります。国公立は月額3万円、私立は月額4万円です。児童養護施設等出身者にはこれとは別に一時金24万円が支給されます。
申し込み方法
進学した大学等の奨学金窓口を通して申し込みます。
参考
独立行政法人日本学生支援機構HP『給付奨学金【新制度】 平成29年度進学者(先行実施分)』
まとめ
以上、新しい給付型の奨学金制度についてでした。
残念ながら、金額は月3-4万円と少なく、これがあるから進学しようと思えるほどではありません。使い方としては、大学の授業料減免制度や他の奨学金制度との併用になるのかなと思いました。
必要な方に情報が届きますように!そして、学びたい子どもたちが進学でき、自分の人生も楽しめる世の中になることを願います。